インターナショナルプリスクールに通っても、あまり成果が上がらないケース
インターナショナルプリスクールを運営している時に、よく聞かれることの一つですが、「本当にインターナショナルプリスクールに通っても、ペラペラになるんですか?」という質問があります。
そもそもこの『ペラペラ』の基準が曖昧なので、また別の機会でも取り上げてみようと思いますが、今回は、うまく成果が出ないケース(といってもプリスクールに通えば普通のこども英会話レベルよりはもちろんできるようになりますが)について正直にお伝えしたいと思いますので、参考にしていただければ幸いです。
うまくいかないケース① 保護者がプリスクールだけしか英語環境を作ろうとしない(家庭での英語環境を作れていない。)
最近では、ほとんどのインターナショナルプリスクールで、ショートコース(9:00-14:30)やロングコース(9:00-18:00)といったコースがあると思いますが、ロングコースは別としてショートコース(9:00-14:30)の場合、どれだけご家庭でできる限りの英語環境を整えてあげられるか?がお子様の英語力に大きく影響します。
保護者が英語ができるかどうか?ということではなく、毎日自宅でも英語に触れる環境を作れているか?ということです。
具体的に言うと、以下のような場合は要注意です。
①スクールからのホームワーク類(ReadingやJournal)をちゃんと行える環境がない。またはホームワークをする習慣ができていない。
②自宅に英語での動画視聴環境がない。子供の観るアニメや、テレビ番組が日本語でしか視聴できない。
上記のようなことは、保護者がネイティブスピーカーでなくても、本来は十分整えることができる内容です。
①の場合でも、保護者が共働きの場合や、介護が必要な場合を除けば十分できる内容です。
すぐに毎日の習慣にしてしまいましょう。
もし保護者が共働きの場合や、どなたかの介護が必要で手が離せない場合は、スクールのロングコースを選択することによってこれらの課題を解消することもできます。
スクールによりますが、ロングコースの自由時間に宿題をみてくれる場合もあります。
すぐにスクールに相談しましょう。
②の英語での動画視聴環境も今の時代簡単に準備することができます。
保護者の中には「英語のテレビなんか観て、子供がわかるんですか?」とか、「子供が嫌がるから。。。」などという理由で、準備されない方もいらっしゃいますが、ご家庭に英語での動画視聴環境があるかないかでお子様の英語力に差がでることは、経験上明白な事実です。
日本語でも子供がテレビを観始めるころはまだ日本語もはっきりとわかっていなかったはずですが、なんとなく動きを追って内容を理解します。
その時にたくさんの言葉を自然と吸収しているはずです。
未就学児のお子様たちには、英語でも同じことが言えますので、その能力を活用しない手はありません。
子供達が嫌がるなら、この曜日とこの曜日は英語のテレビしか観ない日にするとか、時間を決めて観るようにします。
できたら褒めてあげて、チャート表にシールを貼ったり工夫はいくらでもできますし、数ヶ月もすれば習慣になって自分から英語のテレビや動画を観るようになるのです。
10年前と違い今では各社から『Disneyプラス』や『Netflix』、『Hulu』、『You Tube』など英語音声、英語字幕で手軽に子供向けの番組などが観れるサービスが提供されていますので、お子様が好きそうな内容を調べて選択されると良いでしょう。(※ただし、AmazonのPrime ビデオは、国ごとにリージョンコードが設けられているため、子供むけの番組が日本語吹き替えのみだったり、英語の副音声に対応していませんので、英語学習の観点からは目的をなさない場合がありますのでご注意ください。)
しかも月額料金は¥1,000前後のものがほとんどで、昔、子供の英語教育のために、毎月DVDを買っていたことを考えると今は良い時代になったと思います。
ネイティブスピーカーの子供達も幼稚園から帰ればお家では普通に英語のテレビを観たり、宿題をしたりして過ごしています。
そのようにして未就学児の時に言葉を覚えていくのです。
なのに、なぜ日本人だけがプリスクールの時間だけで英語が『ペラペラ』になると安易に考えてしまうのか?というのは、プリスクールを運営する立場の人間としてはとても不思議な感じがします。
うまくいかないケース② 保護者がスクールまかせで、スクールからの提案を実行しない。
未就学児の生徒たちは、成長速度や発育の段階に個人差がありますし、一人一人得意な分野や苦手な分野も違うものです。
スクールでももちろん一人一人に合わせて、できる限り工夫して先生たちも対応しています。
しかし、それでも苦手な分野や他の子たちより遅れをとっている部分がどうしても出てくる場合があります。
そのような場合は、保護者に「このようなことをお家でもしてあげてくださいね」などと提案することがありますが、スクールからの提案を一切受け入れず、スクールと共にお子様の英語力や発育面での成長に取り組まれないケースがあります。
このようなケースは、思ったほど成果が出ないことが多いと経験上感じます。
これは、保護者ではなく英語教育を行うスクールや英会話業界などが顧客獲得のために、誇大広告をしてきた業界の責任も大きいと感じています。
そのため、保護者にも『費用を払っているのだから、スクールの責任で英語をペラペラにできるはず』 などと 勘違いさせてしまっているのだと思います。
それは、本当に英語教育業界の責任だと思います。
なぜなら、本来言語というのはスクールの学習で完成するものではないからです。
しかし、顧客獲得のために『うちのスクールはこんなことができるようになります。』『うちのスクールは他のスクールとこんなに違います。』『うちのスクールは英検の何級を取得します。』などといった印象を保護者に与え過ぎてしまうために、保護者たちも「プリスクールに通えば英語がネイティブスピーカーの子供のようになる!」と間違った期待をしてしまうのです。
しかし、本当にそうでしょうか? 冷静に私たちの母国語の日本語で考えてみましょう。
私たちは家庭でも日本語を話している上にさらに学校に行って小、中、高、大と学習を続けていきながら高度な知識の伴った言語を完成させていきます。
しかし、別の言語ではそれを習得する手段が日本の家庭環境や学校環境ではできないため、手段として様々なスクールに通ったりします。
しかし、スクールは一つの手段であって完全ではありません。
オンライン教材や本、動画、独学でできることもたくさんあるはずです。
それらの他の選択肢をまったく排除して、プリスクールだけでペラペラにするということ自体が理論的に無理があるのです。
例えばこのようなケースがあったとしましょう。少し想像してみてください。
外国から日本にこられている外国人の保護者が、子供さんを日本の幼稚園に入れて、家ではまったく日本語のテレビも見せず、放課後も日本人の友達とも遊ばずに母国語だけで生活しているとします。
その外国人の保護者が「うちのこどもは少しは日本語ができるようになってきたけど、日本人の他の子達と比べて日本語がうまくないなあ。日本の幼稚園に行っているのに。。。幼稚園はちゃんと日本語を教えてくれているのだろうか?」と言っていたら変な気分にならないでしょうか?
実はこの例えと同じようなことをされているプリスクールの保護者は思ったより多いのが現状です。
うまくいかないケース③ 保護者がこどもの意見を聞きすぎで、こどもがだだをこねると保護者が何もできない。(こどもが全ての主導権を握っている。)
上記の2つのケースにも関係することですが、保護者が主導権を握ってちゃんと子供を導くことができない場合も、思ったほどの成果が出ない場合があります。
保護者の話を聞くと『こどもたちが嫌がるのを無理やりさせて、英語が嫌いにならないか心配だから』ということだそうです。
確かに英会話スクールなど週に1度や2度のレッスンなどを受講されている場合はそうかもしれません。
しかし、インターナショナルプリスクールは幼稚園や保育園と同じように毎日通うのが特徴です。
毎日英語で話すネイティブスピーカーの先生がいる環境なので、英語から逃げることはできませんし、時々英語を使うわけではないのです。
毎日が英語の環境なのです。
経験上、保護者に家で宿題や英語の動画を観せられるのが嫌で英語が嫌いになったという生徒はいません。
理由は簡単です。未就学児の子供達は日本語と同様に、どのような言語でも毎日触れることによってスポンジのように吸収するからです。
だまされたと思って3ヶ月ほど、お子様のテレビを日本語のテレビを辞めて、英語だけのテレビにしてみてください。
①はじめは嫌がって駄々をこねると思います。
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②1ヶ月もすると黙って観てます。
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③2ヶ月ぐらいで、ほっといても自分からその番組を観るようになります。
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④3ヶ月もしたら、英語の番組なのに、ケラケラ笑いながら観てると思います。
これは、大人では同じ結果にはなりません。
未就学児の言語を吸収する限られた年齢の時期にのみおこることなのです。
だから皆様も未就学児のうちから英語を学ばせたいという思いでインターナショナルプリスクールに入学させたこととと思います。
それなのに、家庭学習に関しては急に子供達のやりたいことを優先させて、やるべきことをしないのは単なる保護者の言い訳だと思います。
こどもたちがごはんを食べずにおやつだけ食べたいといっても、皆様はけっしておやつだけを与えないはずです。
それはお子様の健康を考えての理性的な判断があるからです。
英語学習においても同じです。
英語学習がお子様の将来に影響する重要な要素だからこそ、理性的な判断でインターナショナルプリスクールなどに投資されているはずです。
であれば、お子様の英語力の向上に役立つことはすべて行ってあげるべきだと思います。
スクールが提案することは保護者が主導で行うことによって、お子様のスクール生活もますます充実して自信に満ちたものになります。
結論:私たちの子供も、これまで関わってきたこどもたちもみんな同じように結果がでています。
国際結婚である私たちの子供ももちろん上記の内容をこなしていますし、これまで関わってきたすべての生徒で、バイリンガルになった生徒はすべてこれらの提案を保護者が主体的に行われていました。
さらに言うとスクールからの提案を実行してさらにスクールを活用された場合、バイリンガルにならなかった生徒はいないのです。
その反対に、自己流でスクールが提案した内容を行わなかったり、違うことにフォーカスされた生徒は残念ながら優秀でも平均的な結果に終わることがほとんどでした。
経験上インターナショナルプリスクールでの成功はこのような公式になります。
皆様におかれましてもご家庭での英語環境を整えて、お子様がインターナショナルスクールでも自信を持って楽しく英語を身に付けられることを心からお祈りしています。
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